高知県産学官民連携センター

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2020/01/15 令和元年度第14回シーズ・研究内容紹介「地域の連携・協働による生活習慣病の重症化予防 ~働きざかりの健康を守るために~」|産学官民連携センター

更新日 : 2020/01/27
開催日 : 2020/01/15
時間 : 18:30-20:00
講師 : 高知県立大学 看護学部 内田 雅子 教授
開催場所 : ココプラ

 

講師

●高知県立大学 看護学部 内田 雅子 教授

【プロフィール】
2003年 日本赤十字看護大学大学院看護学研究科博士後期課程成人看護学専攻 博士(看護学)
2000年 大分県立看護科学大学 講師
2004年 大阪大学医学部保健学科 助教授
2009年 札幌市立大学看護学部 教授
2014年 高知県立大学看護学部 教授

【研究分野・テーマ】
慢性看護学 生活習慣病の重症化予防 ケア・コーディネーション 省察的実践 事例研究法

研究内容

 わが国の生活習慣病は死因の約6割、医療費の約3割を占める。2015年度の医科診療費30兆461億円のうち、糖尿病が1兆2,356億円、高血圧が1兆8,500億円、心疾患が1兆8,848億円、脳血管疾患が1兆7,966億円、がんが3兆5,889億円を占めていた。がんを除く生活習慣病における一人当たりの医療費は、通常、糖尿病の重症化によるインスリン注射は年間約50万円、人工透析は年間約500万円超、さらに心疾患・脳血管疾患で認知機能やADLが低下すると長期の医療・介護費用が必要になる。
 政府はこうした現状を踏まえ「未来投資会議」において、社会保障制度を持続可能なものにするためには、予防医療の取り組みを強化し早期介入により重症化を防ぎ医療費を抑制すること、生活習慣の改善・早期予防により生活習慣病関連の医療需要を抑えることが最重要課題として、2型糖尿病などの生活習慣病の一次予防・二次予防への積極的な取り組みを促す方針を示した。
 高知県は、生活習慣病のうち全身性の動脈硬化を引き起こす糖尿病・心臓病・腎臓病・脳卒中・肝臓病を血管病(政策名称)と独自に命名し、その重症化予防を推進している。高知県の壮年期男性の死亡率は全国平均より高く、特定健診によるメタボリックシンドローム該当者率も全国5位と高い。また、高知県の一人当たり県民医療費及び入院医療費は全国1位で、血管病にかかる医療費は全国平均より高く、外来医療費は全国平均を下回る。つまり、普段の健康管理が定着していないため、血管病の発症予防や重症化予防ができずに、突然の透析導入や心筋梗塞や脳卒中などによる高度医療や長期入院が必要になることで医療費高騰が生じていると推測される。
 血管病の重症化した患者らへ重症化プロセスとその影響要因について面接調査した結果、当事者側の要因として成育歴・教育歴、職場環境、ヘルスリテラシーなどの社会的決定要因、医療者側の要因として受診した医療機関で最新の診療ガイドラインに沿った専門医療が提供されなかったこと、重症化予防に向けたプロアクティブな意思決定支援が提供されなかったこと、などが明らかになった。
 さらに、保健師・看護師らへ血管病の重症化予防支援について面接調査した結果、マンパワー不足、地域住民・患者との関係づくりの難しさ、支援スキルの個人差、受診後の経過や治療中断者の追跡が困難であること、保健機関と病院・診療所など地域のセクター間を超えたネットワークが整備されていないこと、などにより重症化予防策の実効性には多くの課題があるとの認識であった。


※発表時のスライド(抜粋)


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産学官民連携に対するメッセージ

高知県の生活習慣病の発症予防と重症化予防は、広域の社会的課題です!次世代の健やかな未来に向けて、行政‐地域産業‐保健医療福祉機関‐教育研究機関が健康の社会的価値と経済的価値を共有し、地域住民‐実務家‐教育研究者らがそれぞれの経験知を持ち寄りコレクティブな連携・協働を進めていかなければ、解決は困難です。

キーワード

生活習慣病、重症化予防、連携・協働

連絡先

uchida@cc.u-kochi.ac.jp

 
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