更新日 ： 2018/12/04
開催日 ： 2018/09/19
時間 ： 18：30-20：00
講師 ： 高知大学 教育研究部 総合科学系複合領域科学部門 森 勝伸 教授
開催場所 ： ココプラ
講師
●高知大学 教育研究部 総合科学系複合領域科学部門 森 勝伸 教授
【プロフィール】
最終学歴 北海道大学 大学院地球環境科学研究科 物質環境科学専攻博士後期課程修了
学位 博士（地球環境科学）（北海道大学）2001年 9月26日取得
Studies on improvement of resolutions in capillary electrophoresis using novel additive
職歴 (年/月)
(独)産業技術総合研究所セラミックス部門 博士特別研究員（2001/11～2004/9）
(独)産業技術総合研究所セラミックス部門 研究員（2004/10～2005/3）
群馬大学工学部応用化学 材料化学科 助教授（2005/4～2007/3）
群馬大学大学院工学研究科応用化学 生物化学専攻 准教授（学科改組のため、2007/4～2013/3）
（2007/10～2008/9：テキサス大学アーリントン校（アメリカ）・客員教授として1年間留学）
群馬大学大学院理工学府環境創生部門 准教授（学科改組のため、2013/4～2017/3）
現職（2017/4～現在）
【研究分野・テーマ】
分析化学、環境材料科学
研究内容
(１) 木質バイオマスのマテリアルリサイクル
国内外の森林地帯を保有する地域の問題に林地残材があげられます。最も効率的な消費方法は燃料ですが、さらに付加価値を付けるため肥料化や建材化も試みられています。私達も廃材をセメントと混ぜたコンクリートを作製し、保水材や重金属フィルターに応用しています。また、樹皮をおからと微生物を用いて分解し、これを土壌改質剤としてカドミウム汚染土壌に散布し作物にカドミウムが移行しない方法を見出しています。
(２) 唾液からストレスを定量する
唾液を用いた医療診断は、血液採取のような痛みを伴わないことから盛んに研究されています。これまで、唾液中のタンパクやDNA等を利用したストレス診断が行われていますが、私達は唾液の電解質成分であるイオンに注目し、微少量でも分析できるキャピラリー電気泳動を用いてストレスマーカーを探し出す研究を行っています。
(３) 放射性同位体の分離精製
脳機能やがんの診断に用いられるポジトロン断層撮影法(PET)では、病巣へ誘導する化合物に陽電子を放出する放射性同位体を標識した薬剤が用いられています。私達は放射性薬剤を扱うにあたって厳しい時間的制約を解消するため、電解セルとイオン抽出装置という手のひらサイズの装置を組合わせ、放射性薬剤の前駆体となる放射性同位体銅を短時間で分離・精製する方法を開発しています。
※発表時のスライド（一部抜粋）
産学官連携の事例
イオンクロマトグラフィーの研究開発に関する共同研究（東ソー株式会社、2002年～現在）
光触媒製品の性能評価技術に関する共同研究（経産省支援事業の中での共同研究）（2002年～2007年、宇部興産株式会社、日本ガイシ株式会社、株式会社光触媒研究所）
群馬県に降下した放射性同位体セシウムの動態挙動の解明（2011年～現在、群馬大学、金沢大学、群馬県水産試験場、国立環境研究所、東京都市大学）
光触媒材料を導入した溶媒抽出に関する共同研究（2017～現在、原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター）
電気化学的手法を用いた放射性同位体の分離精製（2017～現在、量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究開発部門）
産学官民連携に対するメッセージ
昨年4月から高知大学にお世話になっております。まだ、高知県の企業や団体との交流がないので良い機会に恵まれたと感謝しております。
今回、私から紹介させていただく研究は、タイトルのように分析化学の知識を利用して身近なものから普段聞きなれないものまで幅広く取り組んできたものです。今回の講演を通して一つでも皆様の新たなアイディアの創出につながれば幸いです。宜しくお願い致します。
関連情報（特許・書籍等）
【特許】
第5817372号「重金属分析装置及び重金属の分析方法」
第6296832号「カドミウム吸収抑制資材及びこれを用いた作物の栽培方法」
第4182212号「光触媒の性能評価方法」等 計13件
【論文】
Suppression of cadmium uptake in rice using fermented bark as a soil amendment, vol. 148, pp. 487-494 (2016)(バーク発酵材料の論文).
Use of capillary electrophoresis with dual-opposite end injection for simultaneous analysis of small ions in saliva samples from wrestlers undergoing a weight training program, Journal of Chromatography B, vol. 1012, pp. 178-185 (2016)(キャピラリー電気泳動による唾液中のイオン分析).
Fractionation of radiocesium in soil, sediments, and aquatic organisms in Lake Onuma of Mt. Akagi, Gunma Prefecture using sequential extraction, Science of the Total Environment, vol. 575, pp. 1247-1254 (2017). 等 計130編
キーワード
分析化学、医療化学、環境材料科学
関連URL・連絡先
【連絡先】
E-mail:mori@kochi-u.ac.jp
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